今さら「Sararr」!? フェアライトCMIの伝説の音色を追い求めて

 嘗て一世を風靡したサンプリング音源フェアライトCMIのライブラリにあった「Sararr(サラー)」という音色はかなり有名で、ホワイト・ノイズを含んだ矩形波が優勢となる様なややスローアタックのパッド音だった訳ですが、ティアーズ・フォー・フィアーズの「Shout」のBメロで用いられる単旋律のパッド音と言えば思い出される方も多いのではなかろうかと思います。

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ザ・ビートニクス「Le Sang Du Poête」の複調と拍節構造と微分音の解説

 本曲「Le Sang Du Poête」は、YMOの高橋幸宏とムーンライダースの鈴木慶一の2人で結成されるユニットであるザ・ビートニクスの1stアルバム『Exitentialism(出口主義)』収録の第1曲目を飾る小曲であり、多くはその他の楽曲をメインに耳を傾けられる事で見落とされやすい楽曲であるものの、作りとしては大変凝っており、タイトルにもある通り「複調」「微分音」が使用された上で、基の拍…

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スタンリー・クラークの奏するテナー・ベースの特徴的な拍節構造

 扨て今回は、スタンリー・クラーク(以下スタン)の特徴的な演奏を取り上げる訳ですが、中でも特徴的なひとつに挙げられるのは、スタン本人が「テナー・ベース」と称する [A - D - G - C] という、通常のベースの3弦であるA弦が最低音で標準的なベースのチューニングよりも完全四度高く調弦されたベースを能く用いてベース・ソロやリードを採る時のプレイにあります。

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藤井風のアルバム『Prema』に見る巧緻な曲毎に異なるピッチ

 扨て、今回は藤井風の3rdアルバム『Prema』リリースを機に、彼が楽曲で使用する《コンサート・ピッチ》について詳述する所に併せて楽曲の寸評を語って行こうと思っているのですが、藤井風が標準的なコンサート・ピッチであるA=440Hzを用いず432Hzを用いるという事は広く知られているもの、なぜかその「432」という数字の魔力めいた方面ばかりが一人歩きしてしまっているのは否めず、その辺りの謬見も払…

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インコグニート「Colibri」に用いられるアンブシュアおよびビズビリャンドによる微分音と楽曲解説

 扨て今回は、微分音使用楽曲を取り上げるに当たって、非常に判りやすい例となる楽曲を引き合いにして語りたいと思い、そこでインコグニートが92年にリリースしたアルバム『Tribes, Vibes, Scribes』収録の「Colibri」に白羽の矢が立つ事となった訳です。

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スタイルノート社『Dorico6 楽譜作成ガイド』について

 2025年8月8日、スタイルノート社より『Dorico 6 楽譜作成ガイド』というガイド本(マニュアル本)が発売されましたが、Finaleの開発終了のアナウンスからほぼ1年が経とうとしている所に加え、2025年のゴールデンウイーク直前にリリースされた「Dorico 6」から3ヶ月が過ぎた所で満を持して発売された感もあり、今回は書評を述べて行こうかと思いますが、書評本編に入る前に少々語っておきた…

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Honeycomb Bass ODに心酔したデモ

 Canvas Audioから無料で頒布されているサチュレーション用プラグインがなかなか好いので、YouTubeの方で早速デモを作成したという訳でありますが、ピック弾きによるデモを作る機会は少ないので、これを機に、ピック弾きに依る倍音の出方と本プラグインのキャラクターが判りやすいのではなかろうかと思い制作したという訳です。

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不完全連桁(Partial beam / Fractional beam)の表記法について

 タイトルにある《不完全連桁》という物ですが、これは連桁の主桁ではなく副桁という風に桁が断片的に付けられている短い連桁の事であります。能く見る楽譜で──例えば4/4拍子など──1拍が〔付点8分音符+16分音符〕というタイプで連行が括られて16分音符側に付けられる不完全な長さの短い連桁という事になります。

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スーパーインポーズによる複調(Deja Vu / AB'S)

 扨て、今回は《複調》という状況があからさまに判る位の例を挙げて理解してみようという主旨で例示したい曲がありまして、それが1983年にリリースされた芳野藤丸率いるAB'Sのアルバム『AB'S』収録の「Deja Vu」を取り上げてみたいと思います。

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ReCycleを利用したグルーヴの抽出

 フリー・ソフトとして頒布される事となったReCycleでありますが、30年程前はスタインバーグ社からリリースされていたソフトであり、ループから各サンプルに分割し乍ら各サンプルを鍵盤上に半音単位で配列させてマッピングさせるという物でした。

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別声部間で共有し合う暗黙の略記法による連桁とDoricoの対応

 つい先日、Doricoに慣れる為にヒンデミットのルードゥス・トナリスの写譜を行っていた時にあらためて気付いた事があり、既製の出版物とは本当に心底頼りになると思わせてくれた物でしたが、それに伴いDoricoの少々バグの様な編集スタイルも見付ける事となったので縷述して行こうかと思います。

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