"スティーリー・ダン"の記事一覧

スティーリー・ダン「Your Gold Teeth Ⅱ」を検証

 YouTubeの方では2019年11月には既に譜例動画をアップしていた私でしたが、解説記事に取り掛かるのが非常に遅れてしまい漸く今頃の記事アップという事になりました。昨年11月から数えても、ブログ記事の件数は少ないものの幾つかアップしていたというのにこの有様というのは情けない限りなのですが、記事をアップするのは単に私の書きたい事をアッ…

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「愛しのマキシン」を楽譜面にて比較する

 昨秋シンコーミュージックからドナルド・フェイゲン『ナイトフライ』【ワイド版】があらためて刊行されたのは記憶に新しい所でありますが、私個人の見解を語る為にYouTubeには既に「Maxine(邦題:愛しのマキシン)」のイントロのピアノ譜をアップしているので、これを期に色々と語ってみようと思います。

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ブライアン・スウィート著『リーリング・イン・ジ・イヤーズ』

 1994年。この年の春は比較的暖かかったと記憶しており、90年代初頭から音楽界はガラリと様相を変える様にして懐古主義(アナクロニカリズム)が瀰漫する音世界に変貌を遂げる様になり、それを裏付ける様に「旧さ」を前面に押し出した物が増えており、音作りの方法論が方々で実しやかに囁かれていた物でもありました。そうしたブームのイノベイターとして挙…

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短和音上の減四度

 扨て今回のブログ記事タイトルは実に暗喩めいておりますが、簡単に言えばマイナー・コード上でメジャー3rdに等しい音が鳴っている状況と同じではあります。とはいえ通常はそういう事は避ける物ですし、マイナー・コードが鳴らされている所で、メジャー3rd音と異名同音である減四度音を和声的にではなくとも線的に使おうとしても、かなり無理があるんじゃな…

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分数コードから得られる情緒の例

 今回は骨休み程度に色んな分数コードに触れてみようという話題にしようと企てた所でありまして、ついでに簡単なデモを披露してまおうと思います。今回用意する分数コードの類のデモというのは、私がエレクトリック・ピアノの音作りをする際に、その音質を色んな和音のヴォイシングでどのように聴こえるのか!?という、客観的判断に用いているラフなデモ曲を使っ…

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Planet D'Rhonda/ドナルド・フェイゲン 「Sunken Condos」考察

 ジェイムス・テイラーやザ・セクション、アティテューズ等嘗てのダニー・クーチを彷彿とさせてくれるようなイナタい感じの曲に調性がフラフラしていて、その調性の収まりの無さは落ち着きが無い物とは全く異なり、新しい営みの地へ足を踏み入れた時の周囲の感触を楽しんでいるかのような、それこそ自分自身が死んであの世の住み心地を吟味しているかのような物に…

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Miss Marlene/ドナルド・フェイゲン 「Sunken Condos」考察

 扨て、曲冒頭のイントロ部のコード進行は、それこそロドニー・フランクリンが弾いていてもおかしくない位洗練された感じに聴こえて来ます。それはおそらく脈絡と親近性の希薄な調域へコードが移ろう為に、先を予測しづらい情景に惑わされ乍らも、こうしたコード進行に少々耳が慣れて来ている人達はジャイロが追従するんですね。その移ろい感覚に酔いしれるワケで…

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Out Of The Ghetto/ドナルド・フェイゲン 「Sunken Condos」考察

 扨て「Out of the Ghetto」を語るワケですが、その前に前回のブログ記事にて語っていた「The New Breed」の話題をほんの少しだけ引っ張ると、「The New Breed」の曲の一番最後のコードは「D♭7(#9、#11)」なので、こうした「本物の」オルタード・テンション・サウンドを聴かせる所は、このアルバム主人公が…

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The New Breed/ドナルド・フェイゲン 「Sunken Condos」考察

 5曲目「The New Breed」は譜例の通り、冒頭のテーマはGM7とGM7augという、通常のメジャー7thとオーギュメンテッド・メジャー7thを移ろわせるように使って来るんですが、雰囲気としては何処かご機嫌な様子を演出し乍らも傍目から見るとどこか奇異な行動を見てしまうかのような感じにすら思えてしまうシーンが浮かぶ様な響きにすら思…

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Weather In My Head/ドナルド・フェイゲン「Sunken Condos」考察

 4曲目「Weather In My Head」は、今作中で最もイナタいオーセンティックな路線で、それこそ嘗てのベッカー&フェイゲン、ジェフ・バクスター在籍時の初期SDを彷彿とさせる様な曲。でも2012年という現在、時代が時代だけに音は少々こなれているので、ベッカー&フェイゲンの時代から少し進んで、嘗てのSDのアルバム「幻想の摩天楼」の…

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調性への直視を避けた後

 前々回のブログでは、ドナルド・フェイゲンの今作「Sunken Condos」は全編に渡って調性を嘯く事は勿論、属和音の位置で解決先をも見越した「お天気雨」の様な情景を例にした狙いは、作品全体に渡って歌詞中に登場する主人公が本当は物事の大抵の事は経験済みで理解可能な物の、その先の更なる理解へは遮断してしまうかのような自我と忘却が交錯して…

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和音の二度への収斂も亦重要

 扨て、ココの所ドナルド・フェイゲンの新作「Sunken Condos」の各曲考察を繰り広げている私ですが、前回のブログ記事で語っていたのは同アルバム収録の「I'm Not The Same Without You」でありまして、曲ド頭に出て来る「完全四度等音程和音」という和音などポピュラーな枠組みの方からではなかなか聞き慣れない呼称で…

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「なっ!?船員、小田急」 I'm Not The Same Without You /ドナルド・フェイゲン「Sun…

 ドナルド・フェイゲンの今作「Sunken Condos」の作品全体に渡った歌詞を吟味してみると色んな解釈ができるモノでもあり、そうした暗喩めいた所にSDのお二方の楽しみ方があったりもするんですが、私が感じた今作の情景は、老いて行く主人公の前に現れる若い女性というのは実は介護人が医療方面の技師とかカウンセラーの類の様に私は感じるワケです…

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Tomorrow's Girls制作裏舞台

 今になってドナルド・フェイゲンのソロ・アルバム「Kamakiriad」から選曲してケークリにてリリースするというのもどうだろうか!?という迷いがあったものの、そもそもその迷いというのは、あのアルバム作りにおいて特徴的なDX7の「ほぼプリセット」と思しきDXベース(私は個人的に好きです)を使っていることもあってどのようにして反映させよう…

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