
Dorico 6がゴールデンウイーク直前にリリースされた訳ですが、日本語版というと、実は2000ページ程ある本編のオペレーション・マニュアルは本書『Dorico 6 楽譜作成ガイド』が発売されても猶、未だ頒布されていないという状況です。100ページ強となる『ファーストステップ』についてはリリースから1ヶ月ほどしてから頒布される様になりましたが、いかんせん本編の『オペレーション・マニュアル』は頒布されていないという有様です。
《新規で購入したユーザーはオペレーション・マニュアルが同梱されているのだろうか!?》
と、ついつい心配してしまう訳ですが、英語版のマニュアルがリリースから1ヶ月程で頒布されていた事を鑑みると、このSteinbergという会社は、マニュアルを作成してから顧客に製品を提供するという姿勢ではなく、極力マニュアル製作のリソースを費やしたくないという姿勢であるのではなかろうかと思う事頻り。
況してや日本語版でのサポート体制とやらもヤマハが担っている訳ですが、
●マニュアルに目を通せば判る様な質問には回答しない
●インストール問題以外での回答は1人最高10件を目安に対応
●将来の要望、リクエストは著作権に配慮して受け付けない
という様な、けんもほろろに突き放される様な対応に加えて、回答は質問から10〜14日ほど要し、回答内容はと言えば、《顧客と共に寄り添ってアイデアを出し合い乍ら解決》するかの様な対応とは正反対の、紋切り型の文面でAIが回答しているかと思わんばかりのサポート。
しかも、マニュアルは未整備。斯様な状況を理解しているが故に、私は極力、X(旧Twitter)上でDoricoで苦悩されている方をサーチして、多くの人に幸がありそうな方を見つけては容喙御免で回答して差し上げる様にしています。それも、ヤマハとSteinbergの対応があまりに酷いので楽譜浄書の世界をより良く情報共有する為にも、企業側には期待できない事から率先して動いているつもりです。
まあそれでも、あからさまに《少し調べりゃ判るだろ💢》という様なポストにまで遉に回答しようなどとは思ってはおりませんが、実のある様なポストを見付けては《Dorico互助会》宛らに横からグイグイ回答したりしています。
とまあ、Doricoというソフトの扱いは、サポートの面から言ってもマニュアルは必要とされるに相応しいのでありますが、当のソフトに付属すべきマニュアル(☜オペレーション・マニュアル)の頒布を前に、全く別の会社によるマニュアル本&解説本のリリースが先に現れているという点は、ちーとばっかしヤマハとスタインバーグは恥じるべきだと思います。
そんな訳で『Dorico 6 楽譜作成ガイド』の書評に移ろうかと思いますが、結論から言いますと、《書かれてあると親切》という類の要脈についてはきちんと網羅されているものの、ヤマハ(スタインバーグ)のマニュアル同様に、要脈について《それらの有無でどうなるのか!?》という核心部分までに触れられていない為、素養の浅い人ほど「楽譜設計」のプロットを描けずぼんやりと読まされてしまう感が強いのではないかと思います。
漠然と出版社の側が用意してくれた進め方で奴隷の様に顰に倣って読み進めるしかない様な状況なので、《そのプロットは何のためにあるのか!?》という、プロットの〔有る/無し〕とではどう変わるのか!? という比較も不十分であり、Doricoを熟知している者からは不十分で、初心者はプロットが伝わらないという、どちらにとっても不幸な感が否めない説明になってしまっていると言えます。
唯、それでもDoricoのマニュアルでも親切に語りきれていない部分を本書がやんわりと述べている所があり、こうした点については後ほど語りますが、矢張り「Dorico User's Bible』の出現が待たれる所。
また、基本的にスタイルノートから出る解説本の類は、図版が《Windows主体》であり、Macの操作類に関しては副次的に併記されているという物で、本書に於てもこれは同様です。加えて、Dorico 6のアップデートでは「校正機能」と「コード表記の設計」がクローズアップされる物ですが、校正機能を使う事で生ずる《アウフタクトを使う事で校正機能が返すエラー》やら、こうした事への回避策には何一つ触れられていないのは残念至極。
コード表記設計についても、これは【コード記号】の項目で説明されてはいるものの、楽譜編集が最重要な事案である訳で、私はコード表記のカスタマイズ性など本来必要な機能ではないと思っています。とはいえ、そうした機能の自由度が高まった事について触れているにも拘らず、他の新機能が等閑としてしまっていると思います。コード表記がどれほど譜読みにとって重要なのか、私はこれについて注力する必要はないと思っています。
先述した様に、本書の図版はWindows主体であります。その上でWindows環境から出版に至る事は、Macが優勢である分野で逆に難しいのではないかと思いますが、図版の中には本来ならば黒色で示されている部分も敢えて「網掛け」で示している物もあり、そういう編集はIllustratorを併用したのであろうという事が読み取れる物もあり、決してDoricoひとつで完結している訳ではない事も同時に窺える訳です。
そうしたWindows主体となるtipsがあっても良いのではなかろうかと思います。例えば、WindowsとMacとでは〔透明度〕を取扱うについても両者のインターフェースは全く異なる訳です。フェルマータの有無を声部毎の表示の有無として編集したい場合、ブレスマークに変換した上で色を「透明度ゼロ」に設定するのが得策である訳ですが、こうしたtipsは本書に記載されている訳でもなく、Macでの〔透明度ゼロ〕Windowsでの〔アルファチャンネル:ゼロ〕の必要性など、せめて書いて欲しかったと思います。
《要脈の核心部分の比較考察の無さ》、これが本書の最大の特徴であり、痒い所に手が届かない感じの文章は、ヤマハ(スタインバーグ)のマニュアルとも実に酷似します。読み手&作り手が楽譜を設計した時に感ずる疑問という視線で描かれていないので、Doricoの同梱マニュアルに毛が生えた程度の各ヒントが本書に彩りを添えているに過ぎず、そのヒントも比較考察として割かれていない。これが本書を興味深く読むことを難しくしてしまっている最大の特徴であろうかと思われます。
WindowsだとBMP形式の画像フォーマットを持ち込んで印刷するという事になるのでしょうが、DTP目線で考えると、逆にそっちの方に興味が向いてしまう訳ですが、本書冒頭から79ページまでの【基本操作】は不要だったのではなかろうかと思いました。
そうした基本操作についてはDoricoのファースト・ステップで十分であり、仮にこうした【基本操作】が〔トークン〕に割かれるという内容でしたら非常に面白味が増す訳ですが、300ページ程ある本書の約1/4を、他の応用的な部分へ注力する事も可能となる訳です。
とはいえ、23ページでの【アウフタクト(弱起)の場合】で付言される不完全小節の為に必要なアウフタクトの入力方法および【ガイドの表示/非表示】についての説明は非常に親切であり有意義な部分です。無論、アウフタクトで不完全小節を形成した時点で、校正機能はヤジを飛ばして来る訳ですが、これの回避策については勿論触れられていません。
26ページからは【マウスで音符を入力する】という風に書かれていますが、本書を読み進める為に用意しているサンプル楽譜が山田耕筰の「からたちの花」なのでありますが、歌詞の単声部という楽譜に過ぎない為、これが本書の《平易すぎる》という風に感想を持ってしまう最大の要因です。
例えば、複声部で書かれる楽曲または和声的に書かれる楽曲が必要であろうかと。そうする事で《マウスで音符を入力する以外の方法》として《トークン》や《キャレット》が活きて来るのであり、こうした乙張りが欲しかった訳です。
というのも、Finaleが開発された当初というのはMacのデスクトップでの操作がメインとなる時代であり、私自身、PowerBook140でFinale 2.61を動かしてはいたものの、基本的にテンキー入力とMIDIキーボードとの併存が最もスンナリ入力できるという操作体系であったソフトで長らく使い続けていた訳ですが、Dorico位の時代になると、世のメインマシンの大半はノートブックに軸足を移している様な時代なのでマウス入力も然る事乍ら、実際にはテンキー不要のキーボードでMIDIキーボードも不要な状況で入力して行くという方が求められている変化がある為、入力方法についてはトークン入力も多く取り上げて欲しかったというのが正直な感想です。
例えばDoricoの和音入力にしても、例えば中央ハ音を基準にした場合、低い方から「ド♯・ミ・ファ♯・シ♯・レ♯」(※これは「C♯m△11omit5」である)と和音を入力したとする場合、キャレットを使って [Q] をクリックして和音入力するよりも、[c♯] を入力した後に半音高く設定した直後にトークンで [m3,4,M7,9] と入力した方が圧倒的に工数も少なく早く作業が進められる訳です。
本書の例題とする楽曲が単声部の楽曲であるが故に、そうした所にまで話が及ばなくなってしまっているのは実に苦々しいと言いますか、この辺はもう少しやり甲斐のある楽曲を選んでも良かったのではないかなと思います。
何しろ楽譜浄書ソフトというのは、写譜してこそ鍛えられる物なのですから、複声部、もうすこし和声的でパート数もあった方が良かったのでないかなと思います。弦楽三重奏だけでもヴィオラで相当鍛えられると思うんですけれどもね。
とはいえ、狙ったユーザー層がポピュラー音楽のコード表記を重視する様な所なので、平易さが求められてしまっているという訳です。《五線読むならコードなんかいらねーだろ》というのが私の率直な感想なのでありますが、もう少し敷居を高くしても良かったのではないかなと思います。
80ページ以降から【Doricoを使いこなすテクニック集】となる訳ですが、本書は茲から進めても良かったであろうかと思います。多くのテクニックを用いるには、冒頭から用意されていた『からたちの花』では当然の如く不十分となってしまう為、唐突に全く別の楽曲の譜例が用いられて解説されて行くのであり、それならば幾つかの譜例を挙げておき、それらの《ふづら》を制作プロットとして示した上で制作過程として進めて行くという風にした方がよっぽど読者に対して親切であろうかと思われる訳です。
111ページでは小節途中の音部記号変更について語られるものの、大譜表に見られる小節冒頭からの音部記号変更について取り上げることでもすれば読み物として面白くなったことでしょう。勿論、それについては触れられていません。
114ページではコモンタイム、カットタイムについて触れられていますが、アウフタクトでこれをやると拍子記号は数字表記に矯正されてしまう為、トークンで入力してやる必要がある訳ですが、こうしたtipsにも触れて欲しかった所です。
138ページでの【リピート括弧をまたぐタイ】ではレゼヴィブレ タイを用いた方法での解決策が語られており、これはとても有益な情報のひとつであろうかと思います。レゼヴィヴレ タイがどういう物であるのか!? という事も136・137ページで述べられており、ギターで言う所のレット・リングをDoricoが機能化している訳ですが、FinaleではEngraverフォントを使って符頭を変更しなくてはならず、とても作業工数を費やす編集であった訳でした。そうした負担を軽減する機能について親切に書かれているのはとても有益であると思います。
147ページで書かれる【小節休符】についてですが、これについては非常に重要な事でありまして大変好感が持てるものです。
謂わば、ソフト設計側の都合に依る問題なのでありますが、通常「全休符」とは拍子記号如何に拘らず音符の充填されていない小節は全休符で表すのが大前提であるのが記譜法である訳です。全音符では通用しませんが。それにて重要な全休符のレイアウトというのは、小節中央に配置される必要があるという事なのです。
私自身、ギデオン・クラインの「弦楽三重奏」を写譜していた時に感じたDoricoの基本設計で、当時ブログにも書いたものでしたが、Doricoの基本入力に起因するそれを私が熟知していなかったという事でした。「小節休符」の扱いは非常に重要な事ですので、それがこの様に書かれているのは有益な事であります。
特殊な記譜法ではありますが、休符に括弧を付記するtipsがあれば更に有益であったろうと思います。連符の括弧の表示などとも上手く連動させる事が出来たのではなかろうかと思います。とはいえ、Doricoは表記の面だけで体裁を繕うという方法よりも、演奏面(再生面)でその演奏テクニックが反映される事を重視している向きがあるので、休符に括弧を充てるという特殊な技法についてはDoricoはそれほど頓着していないと思われるのです。
この、音源の反映如何で合理的な設計が為されているDoricoは、今後も足枷になってしまうのではないかとついつい憂慮してしまう点であるのですが、こうした所は柔軟になって欲しいと思いますし、出版社の方もソフトを育てる意味でも色々な角度からDoricoの改善点などをこういう機会に取り上げて欲しかったと思う所です。
162・163ページで書かれる音符挿入の〔4つの挿入モード〕についてですが、Doricoを取扱うならばこの部分は必読です。かなり丁寧に例示を使って書かれており、本書の極めて優れた点のひとつであろうかと思われます。
音符入力部分については、遉に楽譜浄書ソフトである以上、極めて重要な操作部分ですので丁寧に書かれているのですが、どうせならば譜表をまたぐ連桁の 'optical spacing' についても言及して欲しかったと思います。
これは、6.0.22の現在、レイアウト・オプションでのフローでの〔音符のスペーシング〕内でのチェックボックスのメニュー名が〔譜表間の連桁のスペーシングを均一化〕という風に名前が変更されてしまい、前バージョンではフロー内に譜例も例示されていたというのに今では譜例もなくなり、5.1.80のオペレーションマニュアルの方では古いバージョンの呼称を今でも引きずって「2つの譜表間の連桁にオプティカルスペーシングを使用」という風に言及が為されており、統一感が図られていないという状況であります。
Doricoのこうした不親切な部分が使用者を混乱させ、マニュアルの為のマニュアルが必要な状況に拍車をかけているのは言うまでもありません。唯、スタイルノートさんの側もDoricoの側に引き摺られてしまって使用者目線を欠いた部分が多く見られるのも残念至極なところであります。
177ページのクレッシェンド/ディミヌエンド記号入力についてですが、どうせならばニエンテ記号編集にも言及して欲しかった所です。そもそも「白丸に松葉」となるタイプのニエンテ記号には、丸に松葉が接するタイプと離れるタイプの表記法が存在し、Doricoのデフォルトでは白丸と松葉が離れるタイプなのであります。
白丸と松葉が接する表記法の編集についてはちょっとした工夫が必要なので、私自身ブログで述べた事があるのですが、どうせならば言及して欲しかったと思われる部分であります。フリードリヒ・チェルハに端を発する表記法ですが、興味のある方は目を通してみてください。
230ページ以降のレイアウトに関する部分は、Doricoの「楽譜浄書」という核心部分について詳細に語られているので、この辺りは重宝する事となるのではないかと思います。
248ページでは、【アウフタクトではじまる楽譜の最後の小節】とありますが、これは《不完全小節で始まる楽曲は不完全小節で終え、前後の不完全小節との歴時の合計が完全小節内の歴時を補完し合う》という原則に基づいた記譜法について語っている大変重要な事なのです。
弱起の不完全小節と対となる不完全小節の終止小節は違いの小節内の歴時を補い合って「完全小節」内の歴時に合わせるのですが、終止小節の側をドイツ語では 'Schlusstakt' (=シュルスタクト)と呼ばれる訳ですが、本来であればDoricoの側がマニュアル内の文言にシュルスタクトを用いるのが適切であろうと思うのですが、そうした所まで配慮されている訳ではないのがSteinberg社のマニュアルの多くに見受けられる姿勢です。
ただ、これについてはDorico 6のオペレーションマニュアルが未だに頒布されていない(※2025年8月9日現在)状況を鑑みて、5.1.80のPDFオペレーションマニュアルの317・318ページを熟読した方が理解しやすいのではないかと思います。解説本がこの程度の言及に収まって欲しくはないというのが正直な所です。
斯様にして、Finale開発終了アナウンス後としてはあらためて初めてとなるマニュアル本の類が刊行となった訳で注目していましたが、面付けの為のテクニックなど、そうした応用部分にまでは言及されておらず、初歩的なマニュアル本の枠に収まってしまっている感が否めない内容で、個人的には不満の残る物でした。
Doricoに限った話ではないのでありますが、楽譜浄書とは、多くの過去の楽譜を写譜してこそ育まれる物だと思っております。旧来のFinaleユーザーからしてみれば、長年Finaleで育んで来たノウハウをスンナリとDoricoに活かす事ができないのがもどかしい所。
何しろ、フランス式連桁を再現しようとしてもDoricoでは不可能でありますし、連桁の傾きを極力抑えて背景の五線と連桁が作り出してしまう「クサビ」を緩和する策(=manuscript slants)は、Finaleでは日本語版の方から機能が実装されフィードバックされていたというのが21世紀に入ってからの事でした。
連桁の傾きを抑えて視覚的なクサビを抑えるノウハウなど、勿論本書では語られておりません。楽譜浄書の基本ルールに則った目線ではなく、あくまでもDoricoをスムーズに使いこなす為の手順である為、いざ楽譜を作ろうとして制作に挑む、脳裡にぼんやりと描かれる《ふづら》のプロットの為に用意される手順やノウハウ、という視点が欠如しているのが残念な所です。
クサビ取りが必要だと思われる例を本書で例えると、例えば27ページに例示される譜例での3/4拍子での完全小節で8分音符6音を連桁で括っている [シ-シ-シ-シ-ド-ミ] の《背景の五線と連桁》に注目してもらうと一目瞭然でありますが、五線の第1線と連桁とで作られる空隙が徐々に狭まって、[ミ] の音の部分で鋭く《クサビ》を生じます。仮に、連桁の末桁の [ミ] の箇所を浄書モードで1/4スペース(※1スペースは五線の「間」と同様となるDoricoの単位)ほど符尾を延長してやれば、鋭いクサビを形成する事なく空隙を作る事で視覚的なギラつきが抑えられる訳です。
こうした工夫は楽譜浄書分野での独特のルールなので、Doricoの解説書の範囲ではなかなか語られないかもしれませんが、どうせならばこうした連桁の傾斜抑制などのtipsも併せて書かれると読み物としても親切であろうかと思われます。『Finale User's Bible』では随所にこうしたtipsが鏤められるので、読んでいても飽きの来ない物となって糧となる訳です。
また、こうした浄書ルールはスタイルノートさんに何ら責任は無いのであり、Doricoの基本設計が甘い事に起因しているのであります。とはいえ市民ユーザーレベルでは要望を一切受け付けようとしないヤマハさんの姿勢である以上、こうした出版物刊行の時に要望・批判があると遉のアチラさんも重い腰を上げて受け入れようとするのではなかろうかと思う訳であり、あらゆる角度からフィードバックを期待する意味でもDoricoというソフトの現状に甘受した姿勢でマニュアル本を作るよりも、やや批判的な姿勢でソフトを育むという姿勢で説明をしていった方が私としては最終的に誰もが最大の受益者となれると思うのですが、如何でしょうかね!?
況してや例示する楽曲が単声部で書かれる『からたちの花』でしょう。もう少し、世俗音楽のユーザーに阿っても好いから、せめて和声と歌唱パートが必要な曲を選びましょうや。ジャズ・ピアノ&ヴォーカルとか、ギター&ベースのリフとか。
コード表記に重きを置くも、タブ譜に関する例示も異弦同音の弦指定もきちんと掲載されていますが、それが異弦同音として書かれていない事でギタリストの多くは見過ごす可能性が高いです。また、下ゾーンから異弦同音編集が行えるという例示も行われていないのは舌足らずな印象を受けました。
本書を採点するとすると、100点満点で「38点」でしょうか。唯、文中の本文の級数(おそらく12Q)は非常にバランスが良く、読みやすいと思います。ともあれ、Doricoを使った出版物に遭遇するのは私にとって久々な物でありまして、デフォルトでは五線の線が太く、玉よりも線が主張している感もありますが、意外にもBravuraフォントというのはWeb上は扨措き出版物としては見映えが良い物です。過去にも述べましたが、私が最初に遭遇したのはSymétrieの刊行物であり、微分音に特化した物でありました。
読者の方々の多くも恐らく、Bravuraフォントに対してそれほど大きな違和感も無く受け止めているのではないでしょうか。まあ、Doricoがこれから主流になっていくのは間違いなく、出版物の多くもBravuraフォントに遭遇する機会が増える事で、目に馴染めば更にデファクト・スタンダードとなって行くのでしょう。とはいえ、Bravuraフォントにしてもフォント・グリフにはまだまだ採用してもらいたい記号は沢山あるので、これを以てアップデートを止めて欲しくはないのですが。
音楽之友社さん、『Dorico User's Bible』待ってますよ!